Destination Detail

ミャンマーの東には広大なシャン高原が広がっています。その高原地帯に位置しているのが、シャン民族が多く住むシャン州です。ミャンマー最大の面積を誇るこの州は、東部を中国・ラオス・タイの3つの国と国境を接しています。かつては世界的なケシの一大産地として知られた「黄金の三角地帯(ゴールデン・トライアングル)」は、シャン州東部の国境地帯に位置しています。現在では、観光客も訪れることが可能な地域になりました。さまざまな民族が行き来するシャン州には、独自の文化を守り続ける多くの少数民族が居住しています。標高が高いため、ミャンマーの他の地域に比べ気温が低く、快適な気候といえます。

インレー湖は、シャン州を代表する風光明媚な観光地です。この美しく穏やかな湖には、水上生活を営むインダー族が住んでいます。彼らは舟の舳先に立ち、片足で櫂を操って、湖上を移動します。水深が浅いこの湖では、大型の遊覧船は航行できません。旅行者も地元の人と同様、小型のモーターボートで移動します。湖上を巡ると、彼らの独特な生活ぶりを窺い知ることができ、大変興味深いものがあります。

インレー湖は、心が洗われるほどの大自然を手軽に満喫できる最適の場所です。同時に、数々の特徴的な寺院でも知られています。ファウンドーウー・パゴダはインレー湖最大の寺院建築で、近くで見るとその大きさに圧倒されます。また、歴史ある木造建築のガーペー僧院には、国内外さまざまな様式の仏像が数多く鎮座しています。他にも、湖上の集落には鍛冶、銀細工、葉巻など伝統工芸の工房が多く、休憩がてらに立ち寄ってみるのも良いでしょう。中でも特筆すべきものとして、蓮の茎の繊維を丹念に撚り集め、糸を作り、それを織物に仕立て上げるロータス・ファブリックがあります。

インレー湖は、湖で獲れる魚料理でも有名です。さらにシャン高原の豊かな土壌で育った新鮮な野菜が食卓を彩ります。シャン料理は、ミャンマー料理に比べて、油が少なめであっさりしているのが特徴です。シャン米はビルマのものよりも日本米に近いもので、日本人の口にも合いやすく、米を使った麺料理も種類が豊富にあります。この土地ならではの豊かな食文化も、ぜひ味わっていただくことをお勧めします。

湖に面するコテージ・スタイルのホテルが多く、自然の中で羽を伸ばして寛げます。付近には、インデインをはじめとする遺跡や温泉などの観光スポットも数多くあります。時間に余裕があれば、山の上に築かれたシャン州の州都タウンジー、少数民族の村を訪ねるトレッキングが楽しめるカロー、洞窟寺院で有名なピンダヤ、パオ族の聖地カックー遺跡なども合わせて訪れたいものです。豊かな自然と文化の調和した、魅力溢れる少数民族の世界は忘れ難い経験を提供してくれることでしょう。