Destination Detail

バガンはミャンマー中部、エーヤワディー川の畔に位置する乾いた平原に無数の仏塔が林立する、世界屈指の仏教遺跡です。インドネシアのボロブドゥール、カンボジアのアンコール・ワットと並び、アジアの三大仏教遺跡の一つに数えられる、ミャンマー最大の仏教の聖地です。この乾燥した大地は気温が非常に高く、雨季でも雨が降ることは稀です。そのような過酷な土地に、人々の篤い信仰心が花開いたのがバガンの遺跡群です。

バガンは、空港と鉄道駅がある交通の拠点「ニャウンウー」、城壁に囲まれた「オールド・バガン」、その南に位置する「ニュー・バガン」の3つのエリアから構成されています。もとは、エーヤワディー河畔のピュー族の集落に始まるといわれています。ビルマ族最初の統一王朝の首都で、11世紀から13世紀にわたり栄えました。その繁栄ぶりは2000基以上ともいわれる仏塔に見ることができます。隆盛を極めたパガン王朝は13世紀、元朝の侵攻によって終焉を迎えました。また、第二次大戦中は日本軍と英国軍の戦場でもあり、日本兵の慰霊碑も残されています。

仏塔や寺院は、大きさや形状にさまざまな様式があり、階段状になった仏塔、内部に入れる寺院、インドの影響を受けたものなどもあります。4体の仏陀の立像で知られるアーナンダ寺院、バガン最大の規模を有するダマヤンヂー寺院、黄金に輝く巨大な仏塔が目を引くシュエズィーゴォン・パヤー、バガンの中で一番の高さを誇るタビィニュ寺院、内部に美しい壁画が残されるグービャウッヂー寺院、お釈迦様の聖髪を祀るシュエサンドー・パヤー、内部の大きな坐像と寝釈迦像が目の前までせり出しているマヌーハ寺院、エーヤワディー川の船着き場を見下ろすブー・パヤーなど、見どころはとても多くあります。しかし、バガンは、静かな田舎の村といった趣の土地。時間が許せば、昔ながらの馬車に揺られ、のんびりと遺跡巡りを楽しみたいところです。また、朝日や夕日に浮かぶ仏塔群の幻想的な美しさも広く知られています。

バガンは、ミャンマーの人たちにとっても憧れの巡礼地です。家族や親戚連れで、観光や参拝に寺院を訪れる人が後を絶ちません。また、漆塗りの器の産地としても知られ、いくつもの工房があり、その繊細な技術を垣間見ることができます。また、ニャウンウーのマーケットへ足を運べば、フレンドリーな歓迎の中、地元の人々の暮らしの一端に触れることができます。バガンの南にあるポッパ山は、「ナッ」と呼ばれるミャンマー伝統の精霊信仰の聖地であり、日帰りの観光地として人気があります。エーヤワディー川に面した小さな町サレーには、緻密な彫刻が美しい僧院や植民地時代の商家など古いものが古いまま残り、かつてのミャンマーの面影を見ることができます。

最近では観光開発も進み、バガンは旅行者にとっても居心地の良い町になっています。リゾート・スタイルのホテルも多く、エーヤワディー川を眺めながら、リゾート気分を味わえます。ボートでエーヤワディー川をクルーズすれば、彼方に沈む夕日も心行くまで堪能できます。ここは1000年の歴史を経ながら、今でも昔と変わらない穏やかな時がゆっくりと流れています。バガンにいると、まるで時が経つのを忘れてしまうかのような錯覚にとらわれることがあります。バガンは悠久の時の中、不思議と心静かになれる特別な場所なのです。